NICO
屋上に立ち入る奴なんか誰もいない。

唯一立っていた小雨を見つけることは、至極容易なことだった。

「おい、沢島小雨!」

小雨は俺の呼び声に振り向くと、怪訝そうに首を傾げた。

面識のない、知らない奴に突然フルネームで呼ばれたらこんな反応を示すのも無理はなかった。

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