愛のかたまり





「私ほんとは寂しかった…

友達にも裏切られて家族も失って
私の居場所はどこにもなくなった。


誰かに気付いてほしくて、誰かに頼りたかった、甘えたかった。

だけど弱い自分を見せたくなくていつも強がってたの
"私は独りが好きなの"なんて。

ほんとはどうしようもないくらい寂しいのにね。

ほんとの私に気付いてくれたのはあなただけ。」




しばらくして彼は静かに口を開けた


「俺は美姫の悲しみも辛さも何もわかんねえけど受け止めるぐらいは出来るよ?

だからさ、思いっきり甘えて来いよ。
少し頼ったぐらいで俺は離れねえし。


クラスメートだしご近所さんじゃん?(笑)
だから、…泣くな。」



恭平に言われて初めて気付いた


私、泣いてたみたい。

涙なんて何年振りに流した?



彼の言葉が感情を忘れた心に染み込む


「あり、がと…」


「ん。」



ポンポン

頭を撫でてくれる手が心地いい。



人の体温なんて何年振りに感じただろう…



「私、また笑えるのかな?
幸せになれるのかな?
独りぼっちじゃなくなるのかな?」


「当たり前じゃん。
つかもう一人じゃなくね?
俺のこと忘れるとか最悪(笑)」


「そうだね…
あんたバカだけどバカも暇潰しになるし(笑)」


「うぜ(笑)」



人に笑顔を見せたのは何年振りだろう


春風が頬を掠める。



少しだけど、学校っていいなって思えた。
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