変愛事情
そんなことを考えながら
ゆっくりと支度を済まし
沙織も帰ろうとした時




ドンッ!!



教室の入り口で
健人とぶつかった


「あっ!
 ごめんねっ」

「いや
 俺の方こそごめん
 大丈夫かぁ?」


久しぶりに近くで聞く
健人の声


 何か
 おかしい・・・


「ちゃ、ちゃんと前見て歩いてよね」

トゲトゲしくそう言って
沙織はそっぽを向く


 どうして?
 何でだろう?
 直視出来ないんですけど…


沙織の心の声なんて
聞こえない健人は
突然
怒りだした沙織に


「お前の方こそ
 下ばっか見てたじゃんかよ」


と言い返してくる


かっと熱くなった沙織は
「元はと言えば、あんたが」
そう言いかけて
ぱっと
口を手で押さえた


【元はと言えば
 あんたがあたしを
 悩ませてるんでしょ】


何て事を
言ってしまうところだった
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