COLORS【橙】パッション☆オレンジ
「頂きます」
朝食。
四人で食べる朝ごはん。
二人以上で食べるのは実に久しぶりな気がする。

今日のメニューはマーガリンがたっぷり塗られたトースト、牛乳と目玉焼き、そしてヨーグルトと四分の一に切り分けられたオレンジだった。
オレンジにはまだ皮がついている。

「オレンジ……」

この皮がなかなかはがれないんだよな。

「オレンジ嫌いだった?」

「あ、いや……違うよ、母さん。皮が実とくっついていて食べにくいなぁって」

「……私たちみたいだよね」

「え?」

「私と希みたいだよね、オレンジって。皮は苦いのにと実は甘酸っぱい――。全然味が違うものが隣同士」

「じゃあ、お前が皮だな。苦くてまずいとこがそっくりだ」

「なんですって!!言ったわねっ!!あんたこそ皮よ皮!!硬くて頑固そうなとこがそっくりよ!!」

「まぁまぁ……二人とも喧嘩は止めなさい」


『父さんっ!!』


「はい……」


『どっちの味方なの!?』

朝からこの有様。
未熟な『オレンジ』はこれからどんな風に成長していくんだろう。
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