COLORS【橙】パッション☆オレンジ
「朝から無駄なエネルギー使っちまったぜ」

「こっちだって最悪よ!裸見られたわけだし」

「だ~か~ら!あれはだな!」


『霧ヶ丘高等学校』
今日から蜜柑と通う学校。俺はそのままなのだが、彼女は『転校生』と言うことになる。

どこのガッコでも『転校生』と言うのは人気者になれるのである。
まして勉強やスポーツができたり、容姿がかっこよかったり、かわいかったりすれば尚更である。

当然、蜜柑もその対象となるわけで。
ほんの少しだけそれが不安だったりもする。


「おはよ!希!」

「なんだ、操(みさお)か」

「いつものことだけどその冴えない返し……なんとかならないものかしら」

間宮操(まみやみさお)は俺のいわゆる世間で言うとこの『彼女』だったりする。

「冴えないとは失礼だぞ!これでも十分愛情は込めているつもりだ」

「さぁ、どうだか……」

操が蜜柑と目が合った時、俺はどうフォローを入れようか迷った。

「朝霧蜜柑(あさぎりみかん)です。よろしく」

「……朝霧?」

「えーっと、父さんが再婚することになってそれで」

いや、正確には再々婚か。

「キョウダイってこと?」

「一応、そういうことになるな。でも誤解するなよ、蜜柑とは……一緒に住んでるってだけでそれ以外は」

「ふーん……じゃあ、改めてはっきり言っておくわ」

「?」

「希の『彼女』は私ですから。以後お見知りおきを。私は間宮操。よろしくね、蜜柑さん」

「は……はぁ……」

蜜柑は困ったような顔で俺を見ていた。

ここまで事実が揃うと、もはや『同居人』と言っても操にはもう通用しないことも同時に分かった瞬間だった。
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