COLORS【橙】パッション☆オレンジ
「ただいま」
現在……時刻は午後八時を回ったところだろうか。
俺は部活を終え帰宅した。
一応、これでもテニス部だったりする。

蜜柑はまだ部活に入ってないため、先に帰っていた。
玄関には蜜柑の靴だけ?

「……しょーがねぇな、あの親たちは」
学校では全然話せなかったもんな。
やっとゆっくり蜜柑と会話ができる。

「おかえり、希っ!!」

「あ……うん。ただいま」
彼女の笑顔にドキッとしてしまう。
こんな俺って……やっぱり……蜜柑のこと……。

「両親ズはまだ帰って来てないみたいだな」

「……それが」

リビングのテーブルの上に紙きれが乗っていた。

……『手紙』?
それは白い便せんに鉛筆で走り書きされていた。

『希、蜜柑へ  今日はお父さんもお母さんも帰りが遅くなります~!夕飯は適当に作って食べてね。よろぴく!  父、母より』

「あいつら~!!嘗めてんのか?!」
なんだよ、『よろぴく』って……いい歳して……。
我ながらあんなのが親かと思うと情けない。

「仕方ないよ。それだけ仲いいってことだもの、私たちも応援してあげよう」

「って言ってもなぁ~夕飯どうするんだよっ!」
今の俺は腹が空き過ぎていて、『夕飯』のことしか頭になかった。

「大丈夫、私が作ったから。食べよう、せっかくの料理が冷めちゃう」

「蜜柑が……」

「まぁ、こう見えてもね、料理は得意なんだ」

「うわ~っ!上手そうっ!すげーな、蜜柑。これから俺の弁当も頼むわ」

「それとこれとは話は別よ」

「ケチ」
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