オモチャ
ゴミ捨て場に行き、ゴミ袋を置くと、どこからか、猫の鳴き声が聞こえた。


「なんや、お前、一人か」


鳴き声をたどると、茂みの中にうずくまっている白い猫を見つけた。しばらく遊んでやりたい気分だったが、腕時計を見ると、もうすぐ電車が来る時刻だった。


「ごめんなあ、おっちゃん、行かなあかんわ」


猫は一瞬、固まったが、意味を理解したように、茂みの奥へと消えた。
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