オカルト・カルテ
「・・・・」



何も言わさぬ雰囲気、というのは
このことかな・・・。


どうでもいいことを考えながら
正座をして固まること30分。



隣に座る彼は余裕なもので
いつものようににこにことしたまま
堂々とあぐらをかいて私と「彼」を見ていた。




「・・れ、レラジェさん。
私、どうすればいいんですか・・」


隣の彼に小声でささやけば、



「ん?何を言っている、詩織殿!
詩織殿の思いのたけを、
彼にぶつけるといい!」


小声で聞いたのに
大声で返されるからなんだか恥ずかしい。



目の前の人もしばらく黙ったきりで
私をじーっと見ている。



漆黒の髪に黒色の目。
全身黒みたいなその人は
頬づえをついたままこちらを見たまま。



表情も無表情なのか
冷たいのかよくわからなくてなんだか怖い。




・・この人が、ナリミツ・・・なんだよね・・・。


いまさらながらに心の中で自問自答。




「・・レラジェ」



じーっと見ているとやっと彼が口を開いた。



静かで低音で、海のような声。





「詩織殿、我輩の主、つまりは契約者の成満殿だ!
成満殿、こちらは詩織殿!
ストラスとシュトリの契約者だ」



その言葉に、彼のまゆがぴくっと動く。



「・・契約者・・・」



そして私のほうを見た。




「・・俺に何の用だ。
わざわざレラジェを通すなんて」
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