オカルト・カルテ
「・・・ほぁあー・・・」



目の前に広がる光景に感嘆とした声を漏らすと、
下からくすくすと笑い声が聞こえた。



見れば、先ほどのグラシャ=ボラスだった。



「すみません、笑ってしまって。
我々の世界を見てあなたのような顔をする人は
初めてでしたので」



「でも、すごいですよ?
もっと、こう・・・。地獄みたいに大地が
荒れ果ててるのかなぁ・・とか思ってたんですけど」



なんか、まるで・・・。



普通の、大自然の森にいるみたい。



青々とした森、すきとおった湖。



白い雲も少し浮かんだ、綺麗な空。



鳥たちの声だって聞こえそうなのに、
たったひとつ違うのは。




空の上を同じように飛ぶ、他の悪魔。



その様子を見て初めて、
ここが魔界なんだと認識させられる。



「・・ここが、悪魔の世界・・」



ストラスと、シュトリの住んでる国・・・。




「・・契約者でありながら、
一度も魔界に来たことがないのか」




「・・う」


つっこまれて、何もいえなくなる。



「まぁまぁ、成満殿。
詩織殿だって契約してから間もないのだから」




隣から聞こえるのは、
もう1匹別の大きな鳥の悪魔を呼び出していた成満さん。



厳しい顔をしたまま、
私の隣を飛んでいた。



「・・・・はぁ」


さっきは、少し仲良くなれたと思ったんだけどな・・。




人間関係というものはなかなか難しい。
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