オカルト・カルテ
ぴょこん、と耳を揺らしながら
水色のウサギはにこにこしていた。




『・・何しに来た、クソ兎』



「あらら、ご機嫌ナナメだね。
せっかく様子見に来たのに」



「・・それは、どういう意味ですか」




「フェニックス様から言われたんだよ。
そろそろ彼等の様子を見てくるように、ってさ。


見にきたら本当に素直に
監視扱いなんだもん。

シュトリ兄はともかく、
スト兄は性格からして絶対抜け出すだろうな、って
思ってたもの。


びっくりして笑っちゃった」




『・・・』



ピク、とストラスのこめかみがひくついた。




「でも、まぁそれはやっぱり
詩織ちゃんのためだよね?

ヘタに断ったりしたら、
彼女にしわ寄せが行っちゃうもんね」




『・・・黙れ、ウサ公。
それ以上しゃべると、ミンチにして喰うぞ』



それを言うとイーぺはくすくす笑った。



「やだなぁ、スト兄。
猫はウサギ食べれないんだよ?知ってた?」



ムカつく。



けらけらと笑う兎に思い浮かんだ言葉。


ストラスのみならずシュトリにも
わずかな怒りが芽生える。



「でもさぁ、ほんとにぼくが
様子見だけのために来たと思う?」



急にトーンを変えて喋ったので
一瞬何のことかわからなくなる。



「・・・まさか、あなた」
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