オカルト・カルテ
成満さんははあっと息を吐くと、
グラシャ=ボラスを呼んだ。



「・・準備はできたか」


「はい。今すぐにでも出られますが・・・」


「・・わかった。俺はレラジェと後から行く。
おまえはこいつを連れて先に行け」


「わかりました」


グラシャ=ボラスが私を乗せようと頭を下げた。



「え!?な、成満さんは行かないんですか?」



「・・どのみちこれだけ大人数ではすぐに動けない。
だったら2手に別れた方がいい」



「じゃあ、だったら私が・・!」



「・・あんたのほうが狙われる率が高い。
それくらい、分かるだろ」



「・・・・成満さん・・・」



きっと唇をかみしめて、深く頭を下げた。



「ありがとうございます!
・・でも、絶対戻ってきてくださいね!」



「・・・・・」


返答はなかったが、私はそれを肯定だと受け取って、
グラシャ=ボラスに乗った。
< 116 / 129 >

この作品をシェア

pagetop