オカルト・カルテ
「…す、すごい家」



豪邸、とはまさにこのこと。




黒い蔦張りの門はつやのついた黒塗り。




その少し先に噴水があって
そのずっと先に建物があった。




囲われた敷地は建物以外全て
庭のようで、森やバラといったものが
キレイに手入れされていた。




「…お金持ち、なんですね」



「そうかな?
これでも小さい方だよ」



そう言って中へとはいって行った。




「…世界が違う。

すごいね、悠ちゃん」



呼びかけるけど。



隣の彼は何かをじっと凝視するように
鋭いまなざしで一点を見つめている。




「…?悠ちゃん?」






「あ、あぁ。そうだな。
やっぱ金持ちは違うよな!

豪邸なんて持ってて当り前か!」




「そ、そうだよね。
じゃあ中入ろっか」



…なんだろ、さっきの。



一瞬違和感感じちゃった。



妙な不安を抱えながら
私は敷地へと足を踏み入れた。
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