オカルト・カルテ
『…おい、ウサギ。

本当に、それだけのために来たのか』




誰にも聞こえないくらいの声で、
まっすぐ前を見たまま、ストラスはつぶやく。






「だからそう言ってるじゃない。
疑り深いなぁ、スト兄は」




その言葉にストラスの目が鋭く光る。






『…もしアイツに何かするようなことが
あるなら…俺は黙っちゃいねぇからな』





「おー、怖い怖い。

それだけ、あの子にいれこんでるってこと?」





そう言って一回り大きなウサギになった。




「心配しなくても手は出さないよ。

今はね」





そう言って、あっという間に見えなくなった。
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