助手席に君を
いつの間にか、講義は終わりに近づいた。

実技も一度も落とされることなく、順調に進んでいた。

そんなある日。

「君ね、どこを見てんの?3番目の信号を左っていったでしょ?」

「すみません。」でも、その信号を言いたいなら4番目だろ!

「あー、違う!違う!!危ないでしょ?そんなに寄ったら。よくそんなんで、ここまで合格してこれたねー。」

「すみません。」

今日の教官は私に恨みがあるのかと思うほどに怖かった。

泣きそうになった、というよりも殴りたくなった。

こんなこと一度もなかったのに…今日は最悪だ。

トボトボ帰り道を歩いていて、ふと横の道路を見る。

次の教習時間が始まり、何台もの教習車が信号待ちをしていた。

その中の一台に、72号車があった。

村西さんっ!
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