流れ星との約束
0.流れ星
 まだ五歳の神山遥斗は夜空を見ながら大きな欠伸をした。首だけを右に向けて、自分と全く同じ格好で自分と同じように夜空を見ている光を見る。
 
 彼女も退屈しているのだろうと思って見たのだが、全然違った。『キラキラした瞳』彼女の目はそういう目だった。
 
 かわいい。遥斗は素直にそう思う。と、急に光が彼の方を見た。
 
 
「どうしたの?」
 
「何でもない」
 
 
 光に見とれてた。なんて死んでも言えない。顔が赤くなっているのを彼女に気づかれないように、遥斗は顔を反対側に向けた。
 
 
「なかなか見れないね」
 
「何が?」
 
「流れ星だよ」
 
 
 もちろん遥斗には光が流れ星のことを言ったことに気がついていたが、あえてとぼけた。
 
 全く意味のない、いわゆる無駄なことだったが、何故かしてしまっている。自分でも不思議だと思った。
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