流れ星との約束
「最近の綾北野球部の成績分かる?」
 
 
 いきなり遥斗がその様なことを言ったからか、宗は少し戸惑ったような顔をしたが、すぐに口を開いた。
 
 
「去年の夏は初戦敗退。ここ五年は三年前……俺たちが中1の時のベスト4を除いて、全部初戦負けやな」
 
「三年前はベスト4までいったんか」
 
 
 意外だった。まさか地元にある無名の公立校が、ベスト4まで勝ち進んでいたなんて遥斗は思っていなかったからだ。
 
 
「そのときは、ウラベっていう凄いピッチャーがいたから。プロからもちょっと声掛かったくらいや。まあ大学に進学しはったけどな」
 
「もったいないな」
 
 
 素直な感想だった。遥斗は、プロになれる実力がある選手というのは全員が、高卒でプロにいくものだと思っていたからだ。
 
 
「ヨシムネは何でそんなに知ってんの?」
 
「まあ地元の高校やし。公立校の躍進って結構話題になるしな。三年前準決で負けた相手はあの双葉やし」
 
 
 双葉高校は遥斗でも知っていた。15年前にできたばかりの私立校だが、甲子園出場11回。うち準優勝1回・ベスト4が3回という素晴らしい成績を残している、最近では間違いなく京都府1位の高校だ。
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