流れ星との約束
 その双葉に負けたのなら仕方ないと遥斗は思う。三年前、双葉高校は甲子園ベスト8まで勝ち進んでいたはずだ。
 
 
「スコアは?」
 
「双葉との? たしか……0‐2だったかな」
 
 
 宗の答えに遥斗は驚いた。まさかそんなに接戦だとは思わなかったのだ。
 
 
「あれ? そのウラベって人が2年のときも初戦負けやったん?」
 
「せや。そんときはウラベは外野やったから」
 
「外野?」
 
 
 余程驚いたのか、今まで黙って話を聞いていた光が言った。それに対し、宗が頷く。少し顔が得意気になっているが、そんなに知っているのは十分凄いのだから遥斗は気にしなかった。
 
 
「たしか新チーム始まってすぐに、エース候補が怪我して……急遽ウラベが練習試合で投げたら意外と良くて」
 
「監督はそれまでウラベって人が凄いピッチャーなことに気づかへんかったんか?」
 
「しゃあないやろ。打てへん走れへん。肩強いだけの選手やったらしいし」
 
「そっか……今はその人どこの大学に行ってんの?」
 
「たしか……京都陸奥大学の三回生。結構新聞にも載ってんで」
 
 
 ウラベという人は大学でもなかなか活躍しているらしい。
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