流れ星との約束
「知ってたよ」
 
 
 少し見栄を張って遥斗は言った。光はあまり気にしていない様子で、ふーんと言うと急に立ち上がった。
 
 
「どうしたの?」
 
「帰る。流れ星見たもん。お母さん、帰ろ」
 
 
 そう言って、光は彼女の母親を急かせた。その様子を見た遥斗は自分も帰ろうと、母親に声をかけた。
 
 母は、やっと終わったことが嬉しかったのかすぐに立ち上がると、彼の手を引いて歩き始めた。
 
 4人で並んで歩いていると、遥斗はふと光の願い事が何なのか気になった。
 
 
「光は何をお願いしたの?」
 
 
 彼の問いに彼女はなかなか答えなかったが、やがて口を開いた。
 
 
「……遥斗のお嫁さん」
 
「えっ?」
 
 
 顔を真っ赤にしている光を見て、遥斗は自分の顔も赤くなるのが分かったが、今度は隠そうとしなかった。
 
 
「遥斗くん、光を頼むよ」
 
 
 彼女の母親が少し笑いながら言った言葉に対し、彼は大きな声ではい、と言った。
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