流れ星との約束
　近づいてくる中を見ながら、白波瀬花梨は心の内で舌打ちした。走ってくるのならいいが、歩いてくるのだからたまらない。
　
　
「遅い。向こうに２人も待たせてんの忘れてないやんな」
　
「忘れてねえよ。それより、もしかしてカリリン怒ってる？」
　
「次そう呼んだら殺すから。で、向こうで待ってるマネージャー希望の子はどうすんの？　もう呼んできてもいい？」
　
　
　馴れ馴れしく嫌なあだ名で話しかけてくる幼なじみを彼女は睨みつけると、バックネットの後ろで練習を眺めている２人の女子生徒を見る。２人とも、マネージャー希望の新１年生だ。
　
　キャプテンである中の指示があるまで待機と言ってあるので、花梨か中が何も言わない限り、絶対にそこから動かないだろう。
　
　
「カリリ……睨むなよ。まあ、花梨が好きに教えてくれ。俺も練習せんとあかんし」
　
「分かった。じゃあ、もう戻っていいよ」
　
　
　花梨がそう言うと、中は走ってグラウンドに行った。彼女は、来るときも走れと言いたかったが、やめておいた。
　
　まずは、新入生の世話だ。彼女はバックネットの裏に小走りで向かった。
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表紙・目次

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