流れ星との約束
 花梨が近づいてきたのに気付いたのか、1年生2人がほぼ同時に振り向いた。
 
 
「マネージャー希望やんな。私は白波瀬花梨、3年生。他にも2人いるんやけど今日は風邪で休み。会ったときにでも挨拶しといて。
 じゃあ君から名前お願い」
 
「は、はい。1年A組のミズハラヒカリです」
 
「1年C組、スガモトマスミです」
 
 
 やはり緊張しているのだろう。2人とも何回か声が裏返った。しかし、緊張するなというほうが無茶である。
 
 
「じゃあ、今から簡単に説明するからこっちに来て」
 
「はい!」
 
 
 素直な1年生を後ろに引き連れながら、花梨はグラウンドに目を向けた。そこでは、まだキャッチボールが続いている。
 
 もう彼女が綾波北高校に入学して2年が経った。長いようで短く、短いようで長い2年間だったが、充実していたのは確かだ。
 
 甲子園に出場するのは厳しいかもしれない。そんなことは分かっている。しかし、そういった具体的な目標がある以上は頑張ってもらわねばならない。
 
――中、負けたらぶん殴るよ。
 
 花梨は心の中で呟いた。
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