流れ星との約束
「宗、値段が……」
 
「値段? ああ、これね。3万5千円か……確かに高いな。ま、ここは品揃えが良いから値段くらいは……」
 
「そうじゃねえよ。これだけじゃない」
 
 
 遥斗はそう言うと、宗が評価を下したグローブの隣に置かれているグローブを指差した。それは2万8千円と表示されている。
 
 
「あれもこれも全部高いって」
 
「硬式用グラブなんてこんなもんや。質によって上下するけどな」
 
「そ、そうなん……?」
 
「ああ。オーダーなんてヤバいぞ? 高いのやったら7万くらいする」
 
 
 そう言って笑う宗の横で、遥斗は少しヘコんでいた。事前に調査していなかった彼は、もっと安いと思っていたのだ。
 
 彼の所持金は3万円弱。もちろんグローブに全部使うわけにはいかないので、買えるものはある程度限られてくる。
 
 
「宗、言いにくいんやけどさ……俺、今日3万しか持ってきてない」
 
「そっか。じゃあ……これとかどうや? グラブなんて好みの問題やからさ、安くても気に入るのがあると思うで」
 
 
 宗はそう言うと、黒色のグローブを遥斗に差し出してきた。
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