流れ星との約束
6.紅白戦
「亮司、何cmやった?」
 
「188」
 
 
 小学生時代からの親友である啓太に答えると同時に、瀬高亮司は持っていた紙を彼に見せた。そこには身長など、今日の身体測定で出た結果が全て記録されている。
 
 
「マジや……。俺と30cmも違うやんけ」
 
「妬むな妬むな。背が高いってのも良いことばかりやないんやぞ?」
 
「例えば?」
 
「目立ちすぎたり、ストライクゾーンが広かったり」
 
「贅沢な悩みだこと……」
 
 
 落ち込む啓太を慰めながら歩いていると、前方から知っている顔がいくつか並んで歩いてきた。
 
 亮司はすぐに、同じ1年生の野球部員だということを思い出した。確か、名前は神山、吉田、千葉だったはずだ。3人とも大和中学出身なので、中学からの友人なのだろう。
 
 入部して3日も経っている。最初の日は9人しか来てなかったが、今では19人の1年生が入部していた。しかし、3日も経つとほとんどの部員は顔と名前が一致していた。
次の日曜日には、早速春季大会の一次戦が始まる。
 
 向こうもこちらに気付いたのか、千葉が先に口を開いた。
 
 
「よっ。瀬高と千尾やっけ。お前らも全部終わったん?」
< 54 / 77 >

この作品をシェア

pagetop