流れ星との約束
 亮司らがグラウンドに出ると、既に3人の1年生が来ていた。 彼らは、グラウンドに白線を引いている。
 
 整備もされ、綺麗なグラウンドに2本の白線が引かれている様子は、まるで今から試合をするかのような風景だったが、今日は実際に試合が行われる。
 
 午前中に身体測定があり、午後からも授業はないのだが、3年生は学年集会があるため練習に参加できない。そのため、綾北野球部では毎年、この日に1年生対2年生の紅白戦を行っていた。
 
 亮司らが急いでいたのは、試合の準備をしなければいけなかったからである。やはり、それはいつもの練習前に行う準備よりも時間がかかってしまう。
 
 亮司らの後にも次々と1年生が集まっていき、全員で効率よく作業を進めたため、亮司が思っていたよりも早くに準備は終了した。
 
 
「おっ、いいねえ」
 
「去年の俺らよりも綺麗やな」
 
 
 亮司たち1年生が準備運動をしていると、ゾロゾロと2年生が校舎から出てきた。
 
 彼らに挨拶をすると、体操もある程度終えていた亮司たちは円陣を組んだ。まとめ役は、A組の吉田になっている。
 
 全員を見渡して、吉田が口を開いた。
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