流れ星との約束
 集合、という西村の声で、ホームベースを挟んで1年・2年がそれぞれ並ぶ。1塁側が2年、3塁側が1年だ。
 
 何人かの選手は並ぶときに、ベンチからグローブを持っていたため、遥斗も持ってこようとした。だが、持ってきているのがスタメンだけだということに気づいたので、ベンチに置いておいた。
 
 遥斗にとっては初めての場景だったので、ドキドキしながら並んでいた。
 
 
「では、今から紅白戦を開始する。イニングは7回まで。その他は通常と同様に行う。
 小沢と吉田、先攻後攻を決めろ」
 
 
 西村がそう言うと、2年生のキャプテン的存在である小沢と、宗がそれぞれ1歩前に出た。
 2人がジャンケンをした結果、宗が勝った。彼は後攻を選択し、後ろに下がった。
 
 
「よし、じゃあ2年が先攻で始める。礼!」
 
「お願いします!」
 
 
 西村の掛け声と同時に全員が頭を下げる。遥斗も見様見真似で頭を下げた。
 
 そして、スタメンに選ばれた9人がグラウンドへと走っていく。
 
 遥斗はそのとき初めて、何故グローブを持って並んでいたのか分かった。後攻になっても、ベンチに戻らなくて良いためなのだろう。
 
 持ってこなくて良かったと思いながら、遥斗はベンチへと向かった。
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