流れ星との約束
「もしかして遥斗、覚えてへんの?」
 
「何を」
 
 
 遥斗の返答に光は少し驚いたような顔をした。だが、遥斗には野球部に入るなどと彼女に言った覚えは無かったので、仕方がない。
 
 
「じゃあ……五歳のとき一緒に流れ星見たんは?」
 
 
 見たような記憶もあるが、見てない気もする。もともと遥斗は記憶力に自信が無かった。
 
 
「見た気もするけど……見たっけ?」
 
「うん。そこで遥斗は流れ星に約束したんやで」
 
「約束? 遥斗が? 何で流れ星に約束なんかしてんねん」
 
 
 宗が笑いながら言ったが、遥斗は少し思いだしてきていた。たしか小学校に入学する前。さっき光が五歳のときと言っていたからそうなのだろう。確かに流れ星に約束をしていた気もする。
 
 
「そういえばしてたな……どんなんやっけ?」
 
「やっぱり覚えてへんか……」
 
 
 光は呆れたような顔をつくってため息をついたが、すぐに遥斗の方を向いた。
 
 
「甲子園に行く。って言ったんや」
 
「甲子園? 遥斗がけ?」
 
 
 宗が驚いたような声を出した。しかし1番驚いているのは当の本人である遥斗だった。
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