カウントダウン
「 …知り合い?」
夏樹があたしの手を繋ぎながら顔を覗き込んだ。
「え……ううん…」
「京子だろ?」
あたしとその男性、2人の声が重なった。
「えっ…えぇぇえ!?」
なっ何!?
何であたしの事知ってんの!?
あたしは思わず夏樹の後ろにそそくさと隠れてしまった。
サングラスかけてるから顔はあんまり見えないけど……
でもこんな人、絶対知り合いにいない。
だいたい、あたしの名前は『夏実京子(なつみ きょうこ)』。
友達も、夏樹でさえも『夏実』って呼ぶのに…
今まであたしの事を『京子』って呼ぶ人なんて、家族以外にたぶんいない。
しかも男で、呼び捨てで……
「あの…失礼ですけど…っ誰…ですか…?」
あたしは夏樹の影に隠れながらおずおずと尋ねた。