カウントダウン
「んー分かんないんだよねぇ。 というかたぶんあたしが忘れただけだと思うけど」
あたしははぁ、とため息をつく。
「バンド名すらも忘れちゃった…。 でもこのチケットに書いてあると思うんだけど」
そう言ってあたしはひょい、と明菜の手から2枚のチケットを取り上げた。
「夏実バンド名も覚えてないの!? まーでも夏樹くんは何やってもサマになるかぁ」
「サマになってなかったらどーしよーねー。 幻滅しちゃうかも」
「あっ、今! 贅沢発言! 夏実が幻滅したらあたしが頑張ってアタックしちゃうわよ」
「あははー。 でも夏樹と明菜って…なんか面白いかも」
小さくぷっと吹き出すあたし。
「やっぱり明菜には大輔くんが1番だと思うけど?」
あたしがそう言うと明菜は少しムスッとしながらも照れながら笑った。
明菜と大輔くんは幼なじみみたいな関係で、小さい頃からずっと一緒にいて
付き合ってからもう何年も経ってる。
やっぱりその分ケンカとかもしてきてたけど、やっぱりお互い1番に想いあってて。
絆の強い、あたしの憧れのカップル。
「あっコレかな?」