Princessの掟





その後、私があまりに遅くて教室まで中原が迎えにきた。 



いつもなら叱る中原も何かを悟ったのか笑っていた。 



私は車の中でも優斗のことで頭がいっぱいだった。



「百合亜様。とても嬉しそうですね?」



「そう?」



「はい。城東様と何かあったのですか?」



中原の質問に飲んでいた飲み物を吹き出しそうになった。 



「ゴホッゴホ……何を急に。」



「ただ、百合亜様を迎えに行く時すれちがったものですから。」



「………そう。」



私が返事を濁して言うと、中原は私の表情を伺いながら、 



「そういえば、今週の日曜は城東様は誕生日とか……。」



「えっ!?」



「どうかなさいましたか?」



「別に。」



そんな私の態度に中原は笑っていた。 



中原に嘘は通用しないかぁ。 



私は苦笑いをしながらそう思った。 



優斗の誕生日。 



何プレゼントしたらいいかな? 




人はいつも良いことがあると忘れてしまう。 




もっと重要なことがあることに



私は忘れていた。 






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