Princessの掟
待ち合わせ場所の近くで車を下りた。
そこから走りだそうとした時、誰かに呼び止められた。
「百合亜!!」
振り返るとそこには美吏那が立っていた。
「美吏那?何でここに?」
私の質問に美吏那は意味ありげな笑いをした。
「中原さんから連絡があったの。あんたが来るって。」
中原が……。
中原にはかなわないわ。
「はい、これ。」
美吏那は私に箱を渡してきた。
私はそれを受け取ると胸に抱き締めた。
「…行ってくるね?」
私がそういうと美吏那は少し切なげな顔をした。
美吏那が言いたいことはわかってる。
それを口に出さないのは美吏那なりの気遣い。
本当に私はいい親友をもったと思う。
「泣きたくなったら、いつでもおいで。」
「……ありがとう。」
美吏那から背を向けると私は一歩一歩歩き出した。