Princessの掟
「優斗…以上に……好きな人が…できたの。」
自分の言葉に胸が引き裂かれるようだ。
「……だから、ごめんなさい。」
今にも涙が出そうで私はその場をさることにした。
優斗の横を通り過ぎようとした時、腕を捕まれた。
優斗が掴んだところが熱くなる。
「……お前が好きな奴って五十嵐か?」
そう尋ねた優斗の声が若干震えていた。
私は涙を堪えながら答えた。
「…うん。そう……。」
私の言葉を聞くと優斗は掴んでいた手を緩めた。
私は最後に優斗の方を向いた。
優斗は足元を見つめている。
「…優斗、ばいばい。」
それだけ言うと足早にその場去った。
そして、タクシーの中に入ると同時に我慢していた涙がどっと溢れた。
「……ウッ、ウウ…シク…。」
私は家に着くまでずっと泣いていた。