Princessの掟
「じゃあ、一発叩いていいかしら?」
私の言葉に肩をビクッとさせた。
「……もちろん、それで許されるならなん発でもいいわ。」
そう言うと彼女は頭を上げて目をぎゅっとつぶった。
その瞬間私は彼女を抱きしめた。
「えっ?」
叩かれると思っていた彼女は呆気にとられている。
「もういいの。もういいのよ?茉莉香さん。あなたが自分がしたことに気づいて謝ってくれただけで。」
「でも…。」
「だって傷ついたのは私だけじゃないわ。あなただって傷ついた。謝るのは私だって同じ。ごめんなさい。」
「百合亜ちゃん。」
彼女は私を抱きしめ返して泣き出した。
「ごめんなさい…本当にごめんなさい。ありがとう、百合亜ちゃん。」
「私こそありがとう。」
そして私たちは和解した。
「あらら、茉莉香さん、顔酷いわ。」
「見ないでよ、恥ずかしい。」
「だって…。」
私、本当に良かったって思うよ。
また茉莉香さんの笑顔が見れて。
たまには皮肉をいう人がひとりくらいいなきゃつまらないもんね?