Princessの掟
「…………」
私が何も言わないと
「あの時何言おうとした?」
「…それは…大したことじゃないから。」
「じゃあなんでそんな顔すんだよ!!!」
そんな顔?
わたしって今どんな顔してるんだろう。
「なんで泣いてんだよ?」
「えっ?」
私は優斗に言われて自分の顔に手をあてた。
そうすると手に冷たいものが触れた。
言われるまで気付かなかった。
「………」
私は優斗の胸に飛び込んだ。
自分でも無意識だった。
ただ溢れる思いに耐えられなかった。
「お願い。少しだけこのままでいさせて。そうしたら強くなるから。」
「…百合亜。」
優斗は何も言わず私を抱きしめてくれた。
そのぬくもりの良さに私はまた胸を踊らせた。