虹
「ありがとうございましたっ♪」
「また来ますね?」
「はいっ!!」
渚の花屋「虹」は今日もいつもと変わらず、混みすぎず、空き過ぎずの状態だ。
三人、いっきに来たかと思うと、30分近く来なくなる。
「ふぁぁ…暇だなっ」
することのなくなった渚は、花に水をあげはじめる。
すると…
プルルルル…プルルルル…
店の電話が鳴り響いた。
注文だろうか?
渚は急いで電話に出る。
「はい。花屋「虹」の富岡です。」
『すいません、花の配達…できますか?』
声の主は、男の子だろう低い声だ。
「はい。大丈夫です。」
『良かったぁ…』
男の子は安心したのか安堵の声を出した。
「それで、花は?」
『詰め合わせをお願いできますか??』
「はい。大丈夫です」
『あの…ジャスミンの花は絶対に入れておいて欲しいんです。』
『それで、場所なんですけど…絹頭中央病院の425室なんです、』
病院?お見舞いってこと??
ふと思いながらも、渚はメモをとっていく。
『あと…無理を言っているのは承知なんですけど……もうひとつお願いが…』
「ん?」