あなたと私
「梅がお前に用事だってさ!」

「あぁ~…はい」

「とりあえず中庭行こっ?」

いきなりのことに驚き頷くことしか出来ない私は
とりあえず理香子と別れて
梅村君と2人で中庭に向かった。


「………」

「………」


無言で歩き続ける
中庭までそんなに遠くないのに
ずごく遠く、長く感じた。


「ねっ…ねぇ、ここじゃだめなの?」


やっやだ、私…
何言っちゃってるの…?
でも、早く聞きたいんだもん…。


「あぁ…うん。まあいいけど。」


早くなる心臓に、赤くなる顔。
人気のない、静かな階段の下。
好きな人と2人きり
自分から沈黙を破る勇気がない…
静かな雰囲気が心臓の音をさらに大きくしていく…




心臓の音、聞こえないよね~…




無意識ににじむ汗、手遊びをしてしまう。
緊張したときの、私の癖。


「あのさ…。」


沈黙を破ったのは梅村君だった…。
ゆっくりと話し始めた。


「俺、彼女いるけど」



だっだめ…
ぎゅっと目を閉じて下を向いて
答えを待った…
< 22 / 27 >

この作品をシェア

pagetop