あたしの執事
如月さんの声は小さく、あまりよく聞こえなかった。


「確かにもったいねーな」


今度ははっきりと聞こえる。先程とは比べ物にならない、汚い言葉遣い。


「あ…の?」

「あ?なんか文句あんの?」

「いえ…」

「しっかしねぇ。雪子サマにこんな小汚ねー姪がいたとはね」


様だけわざとらしく強調し、後は失礼極まりないことを、淡々と話し続けるこのクソ執事。

いや、執事なんていえる態度ではないだろう。


「千秋様」


元の整った口調に戻ったかと思うと、ぐっと顔を近づけてきた。


「もし、今の会話を雪子様にリークするようなはしたないことがあればこちらもこちらなりの対処をとさせていただきますから」

「ひぃ…っ」

「『ひぃ』じゃねーだろ?『はい』ですよね」

「はい!」


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