あたしの執事
玲の言葉にはっとする。


「なんなら交際宣言でも、しときますか」


上手く…笑えない。あたしの心は複雑だった。白菊学院でも、玲のことを好きな人は沢山いて…

あたしが玲と付き合うことによって、多くの人を傷つけてしまうんだ。


「千秋?」

「…偽善者だよな…これじゃ」

「何が」

「素直に言ったほうがいいの?付き合うってさ」


自分でも馬鹿みたいな質問だとは思う。けれども、その質問を言わざる終えなかったのは、真実だ。


「そのままでいんじゃない?交際宣言っつーのは嘘。聞かれたら、素直に答えときゃいいだろ」

「…そっか」

「そんな顔してないで。千秋ちゃん冷めますよ、ピラフ」


スプーンを手に取り、ピラフを口に運ぶ。

美味しいはずの玲の料理が、片思いだった子の涙を想像するだけで、苦くなってしまったような感覚になる。
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