あたしの執事
何やらにやにやと微笑む梓さんを目の前に、首を傾げるあたし。


「どうかしましたか?」


尋ねるあたしを梓さんは、ひょいひょいと手招きをして呼んだ。


「昨日、玲とくっついたんだって?良かったわねー」

「!」


誰にも気づかれないよう耳打ちをする。何やらその怪しげな様子に、お嬢様方は興味があるらしく、一斉にこちらを向いていた。


「逆に目立ってません?あたし達」

「あーっ敬語禁止よ。タメなんだから」

「はい…じゃなくて、うん」


少しずれが生じた、話の内容。ちょっと複雑になる。


「あ、言ってなかったけど、ダーリンもこのクラスなのよ。ご紹介しましょうか?」

「え、嘘どこ?」


梓さんが自信たっぷりに指す方向を見る。


「左と右どっち?」


ひょろひょろとしたいかにも、今で言う草食系男子の右側と、ツンツン頭が目印の筋肉質な左側の男。

梓さんのことだから、きっと右側に違…

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