あたしの執事
さらりとそう言い自分の席へと向かった玲。そして眠たそうに教本を開き、予習を始める。


「何よ…アイツ。まあ、いいわ。あんなヤツほっといてダーリンの所行きましょ、千秋ちゃん」

「え?あ、うん」


ぐいぐいと梓さんの腕に押しやられ、ダーリンこと梓さんの彼氏のいる、黒板付近へと向かう。


「司ぁ連れて来たわよ。この子が私の言っていた千秋ちゃん。どう?可愛いでしょ?さすがあの玲が、惚れるだけあるわよねー」


『あの』という玲を強調する梓さん。どうやら梓さんの彼氏の名前は、司というようだ。


「へー…玲がなぁ。アイツ結構頑固で、なかなか女寄せ付けねーのに」


親しそうに玲と呼ぶ司さんに、ふと疑問がわく。


「えと…司さんは、玲と…仲は宜しいんですか?」

「嘘!千秋ちゃん今、玲って言った?いつからそんな仲になったのぉ」

「おい、梓。ごめんね、コイツミーハーで…誰に対してもこうだから」


司さんはそう言うと、ちょっと考え込んだように黙り込んだ。

そして口を開く。
< 107 / 134 >

この作品をシェア

pagetop