あたしの執事
「ええ。でも、そのせいか…玲の機嫌が悪くなってしまって…」


はたと気づく。今更だがもしかして…


「芽衣さん…玲の裏を知ってたりしますか?」

「裏?玲にそんなものあるはずないじゃないですか。今日はたまたま、お加減が悪かっただけだと思いますよ」


ああ…やっぱり騙されていると心の中で呟く。本当の正体なんか知ったら、きっと失神してしまうだろう。


「あたし、玲の病室行って来ますね」


くるりと芽衣さんに背を向けると、歩き出す。自分の彼氏が、ワガママなのにつくづく呆れが注した。

部屋に着いて真っ先に出迎えてくれたのは、梓さんだった。

運良く玲の調子は良く、司さんも安心した表情を見せていた。


「待ってたのよー千秋ちゃん!あ、これ食べる?玲甘いもの嫌いなのよぉ」

「…病人に砂糖なんか食わすな。鬼か、お前は」


梓さんと玲のコントみたいなやり取りが、笑えてくる。
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