あたしの執事
本来ならばできない車の送り迎えも、コイツは何故か出来ていて、あたしはそれに頼るしかないのだ。


「千秋様、ご自分のお教室はご存知ですか?」


すっかり執事言葉に戻ったこの性悪男、如月。


「ええ知ってますとも」

「それは良かった。千秋様のことですので、万が一と思いましてですね」

「よっけーなお世話よ」


ふんぞりをかきながら、ドカッとリムジンに乗るあたしはなんともみっともなかった。


「ご到着です。白菊学院ですよ」

「ほぇえー」


あまりの大きさにあたしはみすぼらしい声を上げ、目を丸くした。


「あれ、玲様ではございません?」


唐突に聞こえたお嬢様言葉。
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