あたしの執事
前言撤回をしようとする母を、軽く無視しあたしは尋ねる。


「あたしには、聞く義務があると思うんですけど」

「…」

「お母さん?」

「…分かったわよ」


渋々口を開いた母。そして耳がおかしくなるほどの小さな声で、話し出した。


「千秋には転校してもらおうと思ってるの」

「は?」

「白菊学院に」


白菊学院と言ったら綺麗なことで有名な共学のことだ。だけどそんな学校に通えるだけのお金なんか家にはない。


「叔母さんの家で預かって貰うのよ。お金も全部、叔母さんが肩代わりしてくれるって」

「嘘ぉ」


自慢じゃないがあたしの叔母さん。つまり、お母さんのお姉さんは、すごく優しい。更にそれに釣り合うだけのお金も持っている。





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