あたしの執事

仮面の裏は

一段落ついた。それまで頭を撫でてくれていた如月は、今までで1番執事らしいと思った。


「落ち着かれましたか。千秋様」


やけに優しい態度なのは、『あたしの誤解を解くためなんだ』と納得する。


「千秋様、午後からの授業はどうなされます?」


如月が心配そうにあたしの顔を、覗き込む。


「…出るよ。叔母さんがせっかく通わせてくれたのに、出なきゃ失礼でしょ」

「かしこまりました。では、さっそく参りましょうか」


スッと手を差し伸べあたしを立たせた。教室へと向かった足取りはすごく重かった。

皆のあたしへの視線のせいで…


「なんか見られてねぇ?」


如月がそっと耳打ちをする。さっきまでの言葉遣いは、どこへ行った!

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