あたしの執事
あたしのこの言葉は、誰に聞かれるわけでもなく、過ぎ去っていく。


「あれ、あのパーカー何処いったけ?」


お気に入りの白くて清潔感と気品のあるパーカー。お母さんとの思い出の品のうちの1個だ。


「如月ー!あのパーカー、何処にあるか知ってる?ホラ、あの白いやつ!」

「ああ、それなら洗濯にかけさせましたよ」

「えー!」


あたしは絶叫すると、再び自分の衣類棚をあさる。


「あーもー面倒くさい。このワンピースでいっか…」


そう言って取り出したのが、いたるところにピンクと黄色の糸で、刺繍がされている花柄のワンピース。


「この服でお母さんとよく買い物行ってたな…」


思い出すと止まらなく涙腺が緩み泣けてきた。


「あーあ…弱いな、あたし」
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