あたしの執事

「今日は雪子サマもいねぇしな。千秋、好きな時間だけ遊びに出ていいよ」

「…でも、それにはアンタも『一緒』なんでしょ？」

「よくお分かりで」


にっこりと微笑む目の前の男。世間からの誤解の目がつらいのは、いつもあたしだけなんだぞと心の中で、呟く。


「千秋と初めてデートするね」


如月は嬉しそうに頭上で手を交差させた。


「付き合ってもいないのに、デートもクソもないでしょ。この馬鹿」


あたしは目を細め、言った言葉にそっけなく返す。


「えー…まだ付き合ってなかったっけ？俺ら」

「当たり前！誰が付き合うのよ！こんな俺様男！」


辺りかまわず怒鳴り散らすのは、あたしの悪い癖だと思う。

でも異様に飛び跳ねる、この心臓を黙らせたくて叫んだ。


「千秋のケチ」

「分っけ分かんない！」