あたしの執事
調子に乗るな!と最後に勢いで付け加えると、あたしは外に飛び出した。


「気っ持ちいー」


この空の下なら、いくらヒトリゴトを放ったとしても、虚しくないし寂しくない。

空が話しかけてくれるような…そんな錯覚に陥るから。


「とても小さな島ー照らす遠くから届く眩しい光それは…」


あたしの好きな歌詞の1部分を、小さな声で歌ってみた。


「千秋、歌上手いね。誰の曲?それ」


背後からの唐突な声。あたしの心臓は爆発寸前だ。


「…っはぁー…びっくりした。だ、誰の曲でもいいでしょ」

「彼氏に向かって隠し事すんだ」

「誰の彼氏よ」

「千秋に決まってんだろ」


全く…コイツの神経は疑うものがある…
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