あたしの執事
如月はもう執事なんかじゃない…


「この、悪魔!あたしのファーストキスを返せ!」

「ははっ可愛いじゃん。今時、悪魔なんかいないよ?」


ありえない。絶対、頭が逝っている。


「悪魔っていうのはアンタみたいのを言うんだよ!馬鹿、馬鹿、馬鹿。この鬼畜」


泣き叫ぶあたしをよそに、悪戯な顔をする如月はこういった。


「ホラ、何処か行くんだろ?さっさと立って行くぜ」


何故こんなにも呑気になれるのかが、あたしには分からなかった。


「…アンタとなんか行かないもん」


くるりと如月に背を向け、西にあるショッピングセンターへと足を進める。


「死んでも如月となんか結婚してやんない。いつか、あのエロ魔人に殺されるわ」


あたしはブツブツと呟きながら心に溜まる怒りを、なんとか抑えた。
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