あたしの執事
「私、玲とじゃなくてあの子と話したかったの。ちょっとあの子…千秋ちゃん?の部屋に行っていいかしら」

「別に…千秋に変なこと吹き込むなよ」


1番吹き込んでるのは、お前だろ!と突っ込む。


「りょーかい。じゃ玲、女の会話は聞かないようにしてネ」

「俺、隣の部屋にいるから。聞いて欲しくないんだったら、大きな声を出さなければいいだろ」

「硬いわねぇ。何?玲の部屋と千秋ちゃんの部屋、隣なの?毎晩つらいわね。可愛いんでしょ?襲いたくもなるわよね」

「少し黙っとけ。お前は」


何が何のあれだかさっぱり分からなかったあたしは、盗み聞きを中断し、布団の中に潜り込んだ。


「襲う…?何、如月痴漢だったわけ?」


その言葉の直後に『ぶっ』という噴出したような音が、ドア越しから聞こえた。


「聞いてたの?千秋ちゃんも悪よのぉ」

「あ、梓さん!?」
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