あたしの執事

今の痴漢発言を梓さんに聞かれていたのか…

そう思うと途端に恥かしくなる。


「き、聞いてたんですか」

「それは、アナタも同じでしょ？よほど玲が気になるみたいね」

「違います！ご、誤解です」


あんな奴をいちいち気にかけていたら、こちらの身が持たない。


「ふふ…素直じゃないわね。玲も、アナタも」


梓さんが笑う。如月に連れて、よく分からない人だ。


「…その…あたしに話って何ですか？」


意を決して尋ねてみると、梓さんの反応は意外にも、あっさりしていた。


「ああ…そこまで聞いてたの？なんか玲が千秋ちゃんのことを、可愛がるのが分かる気がするわ」


何がなんだかさっぱり分からない。しかも、質問の答えになってない！…可愛がる？

そんな仕草を如月が見せるなんて、まずないだろう。せいぜいあたしをいじめて終わり…という感じだと思う。