あたしの執事
「あら、話が反れたわね。そろそろ本題に移ろうかしら?」


あたしの喉から、ゴクッと唾を飲み込む音が聞こえる。梓さんの真剣な顔。


「アナタのお陰で、玲と婚約を破棄することが出来たわ。それは、私に大きな影響を与えたの。…他にも好きな人がいたからね」

「それは…良かったですね。おめでとうございます」


褒め言葉のはずのあたしのその言葉に、梓さんは顔をしかめた。


「敬語はやめてちょうだい。仮にも同い年なんですもの」

「え!?嘘」


あたしが異様に子供っぽいせいなのか、梓さんがやけに大人びて見える。


「まあ…それはいいとして。その婚約破棄は同時に私の会社にも、大きく影響を与えたわ」

「…申し訳ありません」

「アナタが謝ることじゃないの」


だが、今の発言から考えたら、これしか言う言葉が見つからない。


「だから…」
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