あたしの執事
少し子供扱いをされたのが気に食わなかったが、黙って寝ることにした。


「おやすみなさぁい」


欠伸を交えた挨拶を母は優しく『おやすみ』と返す。

思えばこれがこの家で過ごす最後の夜だ。


「寂しくなるな…」


その呟きは多分あたし以外の、誰にも聞かれることのない声。

新しい生活を胸に時は進んだ。


「起っきろー」


母のテンションが頂点に昇る朝。今日は以外にも寝起きが良かった。


「おはよう、お母さん」

「急ぎなさい。あと30分で迎えが来るわよ」


母の爆弾発言に神経がぶっ飛ぶ。あたしはチェックのロングパーカーに、ジーンズというラフな格好で外に飛び出した。
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